里山付古民家シェアハウス「播磨CASAGOYA」オーナー:牛飼勇太さん



加東市で活躍する「ひと」紹介コーナー! 第2回目のご登場は、加東市新定で里山付古民家シェアハウス「播磨CASAGOYA」を運営する牛飼勇太さん。大阪府堺市ご出身の牛飼さんは六甲山でシェアハウスを運営するなど、自然と共生するコミュニティづくりに取り組まれてきました。その牛飼さんが2017年に加東市に移住。なぜ加東市の物件と出合い、この地に移り住むことになったのか。移住後の生活で感じたことや、「播磨CASAGOYA」の今後の展望なども含めて伺ってきました!(文・写真/高橋武男)

六甲山の山の暮らしを経て加東市へ

高橋 まず牛飼さんがシェアハウスをはじめたきっかけを教えてもらっていいですか?

牛飼 最初にシェアハウスを開いたのは六甲山なんです。

高橋 六甲山!

牛飼 びっくりしますよね(笑)。といっても当初はシェアハウスをつくるつもりはなくて。山の中で生活できる物件を探したところ、六甲山上の森に囲まれた元学校施設を見つけて住みはじめたのがきっかけですね。



高橋 ひとりで住んでいたんですか?

牛飼 最初はそうですが、次第にコミュニティが生まれ、「六甲山Viaggio」というシェアハウスができ上りました。

高橋 六甲山での暮らしが加東市の物件を探すきっかけに?

牛飼 山でのシェア生活を通して「自然×コミュニティ」の在り方を考えるようになったんです。六甲山の物件が老朽化してきたこともあって、自然あふれる田舎の古民家物件に移住しようと考え、2017年にめぐり合ったのがこの物件「播磨CASAGOYA」でした。ちなみに、現在は加東市に加え、神戸と鹿児島でもシェアハウスを運営しています。



条件は「神戸から1時間以内の古民家」

高橋 仮に兵庫県というくくりでみても、田舎と呼ばれる場所はたくさんあります。そのなかで、どうして加東市の物件を選び、移住する決断をされたのでしょう?

牛飼 まず物件を探すにあたり、「神戸から1時間以内の古民家」という条件を設定ました。この条件に当てはまる物件を見て回った結果、最終的に加東市にたどり着いた感じですね。

高橋 京阪神の人たちは「加東市は兵庫県の北のほうにある」と漠然と思っていたりしますが(そもそも加東市を知らない人も多いけど……)、じつは「兵庫県の下(南)のほう」なんですよね、加東市って。

牛飼 そうそう。神戸や大阪などの都市部に意外と近いですから。

里山体験もできる古民家暮らし

牛飼 では、なぜ加東市のこの物件だったのか。主な理由は3つあります。

高橋 3つ――。

牛飼 まず1つ目は「物件」そのものです。築100年以上の古民家ながら管理が行き届いていて、構造部の大規模な再生が必要ありませんでした。主に手を入れたのは、6部屋に区切ったり、システムキッチンを新設したりといったシェアハウスとしての機能を持たせるためのリノベーションが中心です。さらに約8000平米の裏山がもれなくついてくる点も大きな魅力でした。

高橋 この裏の山も敷地内ということですか?!



牛飼 そうなんです。タケノコや椎茸、山菜などの旬の味覚が採れるんですよ。子どもたちに「山で椎茸採っておいで」と言うと喜んで登っていきますよ。山付き物件は管理の問題などから敬遠される傾向があるようですが、私は逆に山の生態系の一部として暮らせるのは素晴らしいと思いました。単なる古民家生活ではなく、里山体験もできる田舎暮らし――そんな「循環」をキーワードとした暮らしのコミュニティづくりに取り組んでいきたいですね。

「不便すぎない田舎」という選択肢

牛飼 次に2つ目は、「ロケーション」です。まず前提として、わざわざ地方に移住しようとしているのに、住宅密集地に住みたいとは思わないんですよ。これは都市部から地方に移住を検討する人たちに共通する思いです。だからといって、都市部から何時間もかかるような田舎では不便すぎる。この加東市新定は自然豊かで周囲に住宅も少ない一方、都市部からのアクセスはほどほどに良い、つまり不便すぎない田舎という絶妙なロケーションなんです。



高橋 うんうん(共感して頷く)

牛飼 アクセス面でもう少し言うと、中国自動車道のひょうご東条インターや高速バスの乗り場にも近くて便利です。自家用車でもバスでも大阪には1時間ちょっとですし、ほんとバランスのいい田舎だなと住むほどに思います。

高橋 もっと加東市を褒めて(笑)

牛飼 あと最後の3つ目は「人」ですね。移住を検討する際、地元の人たちに受け入れてもらえるか心配ですよね。幸い、この地区の皆さんはウェルカムだった点も、この物件に決めた理由のひとつです。なお、ここは加東市新定の「笠小屋(かさごや)地区」といいます。「播磨CASAGOYA」という名前の由来です。



里山付きの古民家暮らしをプチ体験

高橋 6部屋あると伺いましたが、現在入居されているのはどんな方々なんでしょう?

牛飼 私の家族(奥さんと3歳のお子さん)が1部屋、あと単身者が2名入居しています。単身者のうちの1人は私の以前からの友人です。出身は神戸市で、前住所の姫路市から移り住んできました。今後、動画などのコンテンツ制作のサポートをしてくれる予定です。

高橋 もうお一方は?

牛飼 大学の先生なんです。京都と兵庫の2拠点で教鞭を執られていて、週に半分程度はここで生活されています。あと、海外から帰ってこられたご家族が入居を検討されています。

高橋 それでは最後に、「播磨CASAGOYA」を活用した今後の展望をぜひお聞かせください。

牛飼 加東市への移住という視点でいえば、田舎暮らしを体験する場としても「播磨CASAGOYA」を活用してもらえるようにする予定です。田舎暮らしや古民家暮らしをいざはじめようと思っても、いきなり移り住むのはハードルが高いですよね。都市部からのアクセスも良い「播磨CASAGOYA」に週末に滞在してもらい、自然と共生する暮らしを体験していただく。そして加東市の暮らしを気に入ってもらい、移住のきっかけにしていただく――そんなプランです。

高橋 加東市の移住促進のお手伝いもされると伺いました。

牛飼 加東市から委託を請け、移住促進の事業を今後展開していきます。加えて加東市の魅力を移住希望者に発信するフェイスブック(後日公開!)の運営にも携わっていきます。

高橋 じつは私も市民ライターのひとりとして参加させていただく予定です。一緒に加東市を盛り上げていきましょう! 本日はどうもありがとうございました。

牛飼 こちらこそ、ありがとうございました。

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